2級ライセンサー座談会


●2002年9月14日(一般社団法人音楽電子事業協会 会議室)



●(梅蔭正:MIDI認定制度研究委員会委員長)
本日はMIDI検定制度をさらに多くの方々に理解してもらいたい、あるいは評価して頂こう
という観点で二級ライセンス保持者にお集まりいただきました。 MIDI検定制度というも
のがありながら、実際にはどんな人達が試験にトライして、合格され、その後どうなっていく
のだろう、というようなことを皆さんからご意見を頂ければと思っております。一つには
MIDI検定制度の実情をPRし、もう一方では既に二級に合格された皆さん方からいろんな
ご意見を頂く中で、検定制度の今後のあり方について参考にさせて頂きたいと思っております。
 まず、なぜMIDI検定制度なのか、この制度が生まれてきたのかを遡りますと、AMEI
はMIDIというプロトコルを啓蒙し、MIDIを通じて広く世の中に貢献しようという団体
なのですが、楽器の演奏にグレードがあるように、MIDIを正しく理解してもらうために、
MIDI検定制度が四年前に生まれました。当初は三級からスタートし、非常に反響がありま
した。翌年よりは実務として社会に通用する実力養成を目標として二級をスタートさせました。
さらに本年から四級を設けて裾野を広げ、現在は四級、三級、二級で運営しています。
 今日は忌憚のないご意見を伺い、活動状況、期待を語って頂ければと思います。

それではまず、本日ご出席いただいた2級ライセンサーの方々の現在の活躍ぶりをご紹介いた
だきましょうか。


(戸村正芳氏、ギガコンテンツ勤務/22歳)今年二級に合格し、それがきっかけで本年8月
よりギガコンテンツに就職し、携帯の着メロ制作に携わっています。MIDIとのきっかけは
中学くらいからバンドを少しずつ始め、メンバーが集まらないことなどもあって、生のシミュ
レートみたいなことを兄から借りたヤマハのV50でやったりしていました。


(相原耕治氏、音工房主催/35歳) 私はステージでMIDIのシステムを用いて、
バイオリンやフルートのソリストを呼んで共演するステージを何回か行ってきました。
二級を取得してからは着メロの仕事もできるようになり、大変有り難く思っています。
MIDIが生まれた時のローランドJX3P、プロフェット600の時代から使ってい
るんですが、私は不便な時代をぎりぎり体験できた世代なので、他社のシーケンサーが
つながらないといった体験ができたのはよい経験だったと思っています。MIDIが
登場したお陰で夢は本当に広がりましたね。あとコンピュータで写譜をやっていまして、
オーケストラの写譜等を制作しています。


(後藤剛志氏 大塚商会勤務/27歳)
 二級は第1回から受けていたのですが、 最初は筆記で落ち2回目は実技で落ちてしまい、
今回ようやく合格しました。 仕事は音楽とは全く関係のない業種向け販売管理ソフト開発
の仕事をしています。

仕事の傍ら氏家さんのアイデックスミュージカルアカデミーで昨年始めからレッスンを
受けています。今は仕事が多忙でお休みしていますが、秋以降にまた再開し、音楽に関わる
仕事を考えていきたいと思っています。MIDIとの出会いは十年程前、ローランドのGS
音源が出た頃に親と一緒にCM_500をPC98とつないで、ニフティからデータを落とし
てやり始めたのがきっかけです。今はXG音源を使い、どちらかというと趣味で楽しんでいます。


(会津朋美嬢 障害福祉施設ウルトラの園勤務/20歳)
 私は障害を持つ子供達のための音楽教室をやっています。音楽を楽しむことを主眼にし、
カラオケを作ったり、いろんな楽器を演奏する部分でMIDIを使っています。また、
福祉の関係で年に1回、区の施設で無料のライブイベントを開き、コンピュータ
ミュージックやMIDIの世界みたいなものを紹介しています。ライブのお客さんは障害を
持った人達で、身体不自由で車椅子で活動している方や、知的障害、精神障害の方にもライブ
の感覚を楽しんでもらおうというのが狙いにあります。試験は今までやってきた音楽の知識が
助けになって受かったようなものなので、MIDIやコンピュータについては試験を受ける
ために勉強したようなものです。ガイドブックでしっかり勉強しました。

(今瀬博 白鷺空調勤務/31歳) ここ十年ほどバンドでキーボードをやっていまして、
打ち込みや一通りのことを担当してきました。大学に入ってからキーボードを始め、
一番最初に買ったシンセはヤマハのB200でした。リズムが入っていないシンセなので、
リズム音源を別に買い、それをつなげた所からMIDIがあることを知った感じです。

 


(氏家克典氏 MIDI認定制度研究委員会副委員長&日本シンセサイザープログラマー協会理事)
 なるほど、あの頃はMIDIでつなげていろいろやっていくという楽しみがありましたね。
オールインワンになる前の創成期のころですね。

(今瀬氏)今のバンドは三年くらい続けていて、自分がキーボードで、ボーカル、
ギターと三人のバンドです。ライブの時はドラム、ベースを入れ、さらに同期を回して
やっているので、音楽をやる上では何かとMIDIが関わっています。その後オール
インワンシンセが出始め、僕も乗り換えることになりましたが、そうなるとあれこれ
つなぐ感覚から離れていってしまったので、やり始めた当初にMIDIを勉強できて
良かったと思っています。仕事ではMIDIは使っていませんが、コンピュータその
ものは曲作りがきっかけで始めたので、今はホームページを作成する仕事をしており、
今までの経験が役立っています。二級試験は日頃自分でやっていることの延長のような
感じでしたので、あとは自分で打ち込みしていたのを一つ一つ理屈をつけるような
感じで勉強でき、逆に試験はとても楽しかったです。


(服部麻衣子嬢 ゲームソフト制作会社勤務/23歳)
2年程前にゲームソフトの制作会社に就職しまして、ちょうどその頃二級を受けました。
今はゲームのBGMや効果音を作っています。子供の頃からエレクトーンを習い、
グレード三級を取り、ヤマハ音楽院に入りました。そこでシーケンスソフトを使って曲
を作る授業があり、その時初めて知りました。それ以来コンピュータで曲を作っています。

(氏家氏)エレクトーンの中にもMIDIが搭載され、プログラミングという発想が
出てきましたよね。その辺は難しかったですか。

(服部嬢)学院に入った時はEL_900を使っていましたのでコンピュータとつないで
やっていましたが、やはりちゃんとした音源を使いたくなりましたね。二級試験のきっかけは、
コンピュータで曲を作る仕事を望んでいましたので、そのための知識と技術を身に付けたかった
のです。試験は筆記が難しかったですね。結構勉強しました。実技は何とかなりましたが。


(尾崎義和氏 早稲田大学3年在学/21歳)
音楽とは全く関係ない大学三年生です。小さい頃からピアノを習っていたわけでもなく、
音楽活動と言えば高校の時にやっていたバンドくらいです。MIDIに初めて出会ったきっかけは、
もともと演奏は苦手でしたが、音楽には興味があり、楽譜を立ち読みするのが好きだったんです。
家に電子ピアノがあって右手で弾いたりしていましたが、これじゃ面白くない、コンピュータに
演奏させたらいいと思ってDTMを始めました。そのうちだんだん欲が出てきて、こんな音は
嘘の音だ、ドラムの音も欲しいと、いつの間にかMIDIにのめり込んでいきました。
本当の転機になったのは高校1年の時に買ったヤマハのQY70です。今思ってもこれが人生を
変えたと思っています。ギターとベースは少し弾けるので、それ以外をQY70で演奏して、
夜な夜な一人で楽しんでいます。でもQY70で演奏させて、自分ではすごく上手く作れたと
思っても、周りの人にはスーパーとかでかかっている曲じゃんとか言われるとすごく悔しい。
一音一音ベロシティ変えて作っても誉めてくれない!。将来は自分の好きなことで仕事をして
いければそれに越したことはないですけど、今のところまだ分かりません。


(大浜和史氏 MIDI認定制度研究委員会副委員長&日本シンセサイザープログラマー協会理事長)
 先ほど写譜の仕事や楽譜を見るのが好きだったという話が出ましたが、昔は楽譜で音楽を
売っていたんです。ニューヨークのカーネギーホールの前には今でも楽譜屋さんがあって、
これはどんな楽譜ですかと聞くと、その場で弾いてくれる初見屋さんがいて、それで買って
いって練習した。音楽出版というのもはそういうものでした。ポップスが発展してくると
オリジナルをギターで作ったりすることがメインになってきて、楽譜が少し遠ざかるけれども、
MIDIが生まれて再現性においては初見屋さんがいなくても自分で打ち込んでいけばどんな
曲か聴くことができるようになった。今楽譜がスコアまで含めて見直されていて、そこから
できる具体性みたいなものを自分では感じるんですが、楽譜って結構面白い。
で、五線譜は世界共通で言葉は何語であってもドの位置は同じだからものすごく便利。
それと同じことがができるのがMIDIってわけですね。 音楽だとドがいっぱいあるけれども、
ノートナンバーで60と言えばこれしかないと絶対的な再現性がある。これを使ってできる技術が
十年位前のカラオケで、再現性においては一つのビジネスになっていったわけです。
これはビジネスだけでなくて学習にものすごく向いていて絶対的な音を固定できる高さ/
長さ/強さと、これを少し広げられないかと検定に着手したのです。
 また、ネット上でやりとりされるデータ達があまりにひどいので、これは何とかしな
くてはいけないと。もう少しきちんとしたデータはこういうものだというのを分かって
欲しいという願いもあった。

●(大浜氏)_ガイドブックについて_MIDIは音楽教育や学問と違って先駆者がいないので、
こうですよと言いきれる人がいなかった、ガイドラインがないのが問題とも思ってガイドブック
を作りました。そうすればそれに向かって勉強になるだろうし、効率良く合理的に使ってもらえる
だろうと考えました。でもガイドブックを作ってみて初めて分かったのは、今まで本当に共通
の本がなかったことなんです。

(氏家氏)MIDIは規格ですからね。工業的な規格なので、音楽的なものと結び付いた本が
ありませんでした。

(大浜氏) 技術者がMIDIを使うための本や製品個別の本はあっても、一般 の人がこう
やって使いましょう、MIDIとはこういうものですという本はなかった。

(相原氏)いまだに何か困った時は二級、三級、四級のガイドを辞書のように使っています。
本当にどの本よりも重宝していますよ。今まで無駄な本を結構買わされてきたなって思いますね。
今までは画面写真が多くて、実用的なことが全然書かれていなかった。それに比べガイドブック
は参考書以上の辞書であると言いたい。

(今瀬氏)いろんなノウハウを覚えるにはキーボード雑誌の連載記事しかなかったんです。
ガイドブックは一通り知りたい内容がまとまっていました。

(尾崎氏) 楽器の解説が入っていたのが良かった。実際にやっていると名前と音は分かる
けれども、どんな楽器なのか分からなかったし、演奏方法が分からないと嘘の演奏になって
しまいます。あとパソコンや同期などについても詳しく書いてあって良かった。

(相原氏)ミュージックメディア実務ノウハウの本がとても好きです。プログラマーの方達
の失敗談のコラムがすごく参考になりました。僕らも失敗はありますから、こういう点を気
を付けなければいけないと注意しています。

(尾崎氏)二級ガイドはちょっと価格が高いと思いました。二回試験を受けていますので、
一、二か月電車の中でずっと読んでいました。だから元は取ったかなと。

●(梅蔭氏)さてMIDI検定制度をどこで知ったのか。どうして受ける気になったのか
教えてください。

(尾崎氏)ヤマハ渋谷店でガイドブックが平置きになっていて、せっかくだから趣味だけで
なく、一定レベルの知識を付けておきたくて受ける気になりました。で、三級と二級を同時
に受けたのですが、二級の筆記は分からない所も多かった。実技の方が体で覚えていたので、
楽といえば楽でしたね。曲の穴が空いている所よりも間違って入力されている所を正す方が
難しかった。特にドラムなんてこのままでいいんじゃないのとか、ベースもピックベースな
のか、フラットベースなのか設問が間違っているのではとも思ったりして。でもベロシティ
の波の形などを必死に覚えて、このくらい効いているんだなあって、ちゃんとやってみて
合格しました。

(服部嬢)ヤマハ音楽院にポスターが貼ってあり、学校が試験会場だったのと、
青山先生の受験向けセミナーがあり、それを見て受けてみようと思いました。

(今瀬氏)僕はキーボードマガジンで知り、日頃MIDIを使っていましたから、
こういう検定があるんだったらぜひやってみたいと単純な思いでした。三級、二級どちらも
一回目に受けたのですが、やはり自分の中で数字の知識とか持っていたことを再確認できた
のは良かったと思っています。実技試験の時はバイクでこけちゃいまして遅刻したのが悔し
かった。問題自体はすごく分かりやすく、しっかりできたので良かったです。

(会津嬢)趣味の習い事の所でカラオケを使ってレッスンをしていまして、ちょうどその頃
QY70と出会い、そんな話を先生としていたら、こういう検定試験があるらしいと聞き、
受けてみることにしました。試験の時はすごく緊張していたせいか、呆気なかったという印象
でした。簡単というか、突っかかる所がなかったんです。

(後藤氏)私は第1回目の三級試験の前にマイコンベーシックマガジンとか、DTMマガジン
に三級対策のページがあって、検定試験があることを知りました。試験日が大学を卒業する
直前だったので将来に役立つかもしれないと思ったし、勉強もしたかったので受けました。

(相原氏)新聞に検定制度ができるという記事の切り取りを友達がくれたのです。
それで楽器店や書店でガイドブックを探して求めました。ガイドブックの最後の模擬試験しか
頼りがなかったですね。もっと困ったのは二級でした。ガイドブックの後ろに問題もないし、
何が出るんだろうと心配でした。今は過去の問題がダウンロードできますけれど、たまに
力試しで自分でやってみたりするんですよ。随分忘れている所も多かったりして。ただ自分
の中ではこのソフトのこの部分はこうすれば良いと、いちいち正式な名前も覚えないで使って
きたので、試験ではそれが知識不足となって苦労しました。

(戸村氏)最初に知ったのはキーボードマガジンでした。第一回目は受けなかったんです。
専門学校に通っていて、DTMのコースがあるのになぜか学校が試験の提携校でなくて、
これはまずいと思い自分で資料請求しました。同時にガイドブックを読みました。その時、
自分に片寄った知識というか、使わないものは一切縁がなかったので、試験をきっかけに
勉強しようと思いました。地元でバンドをやっている人が多くて打ち込みの仕方を尋ねら
れることがあり、これは知らないとまずいみたいなプレッシャーがあり、しっかり勉強
する気になりました。

●(梅蔭氏)申し込み先のAMEIにはどんなイメージがありましたか。主催している
事業団体はどんなことをしているのだろう、何でこういうことをするのだろうと。

(相原氏)僕にとっては神様みたいな存在です(笑)。というのは、こういう仕事をして
いてある位置付けが欲しかったのです。10何年フリーでやってきましたけれども、
プロフィールに書けないんですよ。素人が何やってんのみたいにお客さんに舐められて
しまうんです。日本の情けないと思うのは肩書きに弱いところ。コンクールに入賞しなく
ても音楽やる人達はたくさんいるわけで打ち込みも同じことですよね。

(今瀬氏)最初はどういう団体なのだろうかホームページで確かめました。分からないと
不安なので会員会社など全部調べさせてもらいました。

●(梅蔭氏)試験の内容、運営について、申し込みから試験終了後の対応まで、
お気付きの点はありますか。

(中田健 社団法 音楽電子事業協会 専務理事)事務局から申し上げますと、現在二級の
ライセンス保持者は212名います。4年間の三級を含め受験総数は約1万人になります。
二級実技試験の受験者は1027名です、その中のたった212名なのです。私は試験が
ちょっと難しすぎるのではないかと思っているんですよ。今年は二級に500人くらい受験
され、合格は25名でした。皆さんの話をお聞きしていると難しいという話はあまりない
ようですが、特に実技試験のやり方や勉強の仕方ついてご意見はありますか。

(氏家氏)実技試験についてはJSPAでものすごく議論して作りました。第一線の
プログラマーがたくさんいて、MIDI検定としてスキルをどこまで上げなければなら
ないのか、その結果生まれたのが今の形です。空白を埋めていく作業は、プロの現場で
はアレンジャーから譜面を渡されてプログラミングすることが頻繁にありますから絶対的
なスキルになります。さらに予め正解のMIDIデータを提示して、どこまでかけ離れて
いるかという修正の問題がありますが、これはどこまで注意深く物事を判断できるかを
見るためのものなのです。実は1回目から3回目まで難易度は全く変えていません。
それなのに今年の合格者が少なかったのは面白い傾向です。

(梅蔭氏)二級のコンセプトはもう、大浜さん、氏家さんに匹敵するくらいの方で、
合格者は電子楽器の開発会社、音楽データの制作会社で即戦力となって、MIDIに
関する開発事業に携わることができる力量を持った人を認定するものなのです。
ですから皆さんはすごいレベルの方々なのです。これから受ける人達にもアドバイスを
お願いします。

(尾崎氏)先程、実技は難しいのではとのお話でしたが、僕のように全く音楽に関係ない
素人でも受かってしまったので、真面目に勉強すればそんなに難しいことではないと思い
ます。問題自体も確かに意地悪な感じはしますけど、資格や試験ということを考えれば、
言われたことをやるのは当然だし、受かりたかったら勉強するのは当たり前。即興で作る
のは大変だけど、予めある答え通りにするのであれば今のままで構わないと思います。
驚いたのは試験に使う機材がすごくて、MU2000を再生した時に音のクオリティが
良くて、やはりQY70とMU2000は全然音が違うので、自分がいつも使っている音源
で受験できるといいと思いました。二時間の時間は短いと思いましたけど、それくらいの
時間内でやるのがプロなのかなと思いました。

(服部嬢)私はもっと難しくした方がいいと思います。プロの方には試験を受けていない
人でももっとすごい人がいっぱいいます。だから受かったからといって万歳とは言えません。
次は一級を作って欲しいですね。もっとスピードが求められる内容はどうでしょう。ゲーム
の曲を作っていると、早ければ早い方が有利です。それとMIDIだけでなくてオーディオ
が扱えないとダメですね。一級を作るのでしたら、オーディオも入れて欲しい。でもそう
するとMIDI検定で無くなってしまうでしょうか。

(今瀬氏)試験内容そのものは妥当だと思います。知識として覚えておけばこれだけの曲を
それなりのクオリティで作れるということはすごく的確ではないでしょうか。実技試験は
いつも見ている画面と基本的には同じだったので特に抵抗なくできました。ただ尾崎さん
が言っていたように音源で差が出てくることが考えられ、その環境に応じて作ることが
できればいいと思います。

(会津嬢)MIDIの検定なので実際にMIDIが関わってくる仕事とか、MIDIが
関係しているものは多種多様だと思いますから、これからは科目みたいに枝分かれして
いくのも面白いと思います。例えば打ち込みは趣味でやっているけれどもオーディオを
取り入れたことがないとか、波形編集をしてみたいとか、シンセを入力用キーボードに
使っていますが、シンセサイザーとして使ったことがないのでもったいないと思ってい
るんです。バンドをやっているけど録音の仕方が分からないとの声も聞きます。
そんないろんな科目に分かれていると面白いと思います。

(氏家氏)MIDIが誕生して今年二十周年になります。現在は楽器から照明からいろんな
ものが動いていますので、そういう用途別に集約できるのも一案ですね。

(会津嬢)周りにコンピュータミュージックに興味を持っている人が少ないので、ネット
サーフィンで一般の人のページを見たり、データをダウンロードしたりしています。
で、聴いてみるとバンドスコアそのままだったり、全部リアルタイム入力のジャズバンド
だったり、ああなるほどと思いましたね。

(後藤氏)1回落ちて今回受かったという経緯ですので、合格発表を見てああ少ないなあ
と思ったのが正直な感想でした。内容としては楽譜やデータを公開したやり方なので、
初めての人は厳しいかと思いますが、1回受ければこういう所が出るというポイントが
分かると思う。あと直前に講座など対策が立てられるかどうかで差がついてしまう気が
します。

(相原氏)私はこういう会議テーブルが嫌いでパイプ椅子に座るのも好みません。
というか演奏ができず、打ち込みが多いので、仕事場にはちょっと高価な椅子を買いました。
現場のことを考えるとどんな環境でもできなければいけないと思いますが、試験なので緊張
が邪魔してしまうんですね。だから自分の環境に近い音源やパソコンがあると、
よりリラックスしてできると思います。2回目のCLUB MID に自分のマウスパッドを
持ってきた体験談が出ていたように少しでもリラックスできるといいでしょうね。

 あと一級ができとどうなるんだろうと考えたことがあって、前半はクラシック的な打ち込み、
後半はジャズになったり、その両方ができないとダメなのかと思ったことがあります。例えば、
二級Cはクラシック、二級Jはジャズ、二級Rはロックに分けるとか。でも一級というのは
以前に氏家さんともお話したんですが、音楽的要素が入ってくると、この音楽が優れている
といった提示は人によって異なるので言えないですよね。二級より上ができないというのは
その辺りの理由がある気がします、私は名刺にMIDI二級取得と書いていますが、
なんだ二級?、一級はないの? と言われると悔しい。

(戸村氏)試験を申し込んでから1ケ月くらい猶予があるので、その中でもう少し内容が
濃い方がいいと思います。実際に曲を作る時はリバーブは外部でやっているんですが、
現場では音源の中の内部を細かくいじっていて、先ほど即戦力の話が出ていましたが、
やはりそこを考えるとエクスクルーシブをいじる内容があってもいいと思います。
あと普段ペンで記入はしないのですが、解答用紙がもう少し記入しやすくなるといいと
思います。

(大浜氏)試験の時にサインペンや色鉛筆を持ってきて色を付けている人もいます。
それも仕事のやり方ですね。色鉛筆を持ってきてはいけないとはどこにも書いていないから。

●(梅蔭氏) CLUB MID は次回から形を変え、MIDI LICENSE.COM としてインター
ネット上で展開していきます。その内容について要望はありますか。

(相原氏)掲示板は作って欲しいです。ライセンスを持っている方達の中であれば情報を
共有できるし、話が発展していくので勉強になると思います。プロに習うことは沢山ありますが、
アマチュアの方から学ぶべきことも多いと思いますので、ぜひ掲示板は実現して欲しいです。

(尾崎氏)楽器の特集はどうでしょう。楽器の入力例があると、どんな楽器か分からないと本当
の音に近付けないので世界が広がると思います。誌上だとデータは載らないし、ホームページ
だとダウンロードできるようにすればうれしい。

(後藤氏)ガイドブックの中にコラムが入っていますが、打ち込みや現場での失敗談などの
記事が読めるといいと思います。元々CLUB MID が年に一回、試験後の報告のような形でしか
出ていなかったし、年一度は少ないと感じていたので、全体の情報をリアルタイムに出して
欲しいという意味も含めてコラムがあるといいですね。

(梅蔭氏)なるほど、では二級ライセンス保持者に寄稿してもらうのもいいですね。
そういう人を皆が目指すような形でね。

(今瀬氏)個人的にですけれど、二級を持っていればこのくらいのデータは作れますというの
がアップできる場があるのはどうでしょうか。

(今津嬢)四級に関して、試験をここでやっていますという宣伝や、教える立場の人向けに
場所探しの相談窓口がオフィシャルにあると心強いと思います。求人求職情報もぜひ欲しい。
一般のコンピュータや音楽雑誌のような内容が入っていると頻繁にチェックしたくなるはず。
それから私自身、専門学校に行ったり習ったことがないのに二級に合格できたんですが、
本当にどれくらいの力を持っているのだろう、どのくらいのレベルなのかがいまだに正直
分からないのです。打ち込みばかり上手くても仕事ではそれだけではダメだろうし、
コンピュータより音楽の世界だと思うので、センスや演奏技術が必要になっくる。
だから他の人の活躍ぶりが分かると目安になるかと思います。

(中田氏)今すぐにすべてをと言う事は無理ですが、時間はかかりますが、できるだけ皆様の
要望を取り入れ、MIDIを愛好する、電子音楽を愛好する皆様に役立てられるような
「midilicense.com」〈ホームページ〉にしたい、そのためにも皆様にも参加していただける
ような仕組みも考えねばと思っております。

●(梅蔭氏)二級ライセンスを持っていると何かメリットがあったらいいとか要望はありますか。

(相原氏)MIDIライセンスカードで楽譜等の割引が受けられるとうれしい。

(尾崎氏)音大生割引とかよくあるじゃないですか。それでMIDIライセンスカードを
一回お店で出してみたんですが、ダメでした(笑)

(梅蔭氏)例えば、電子楽器メーカーが優先的にモニター対象にするのがあったらどう
でしょう。いま約束はできませんが。

(相原氏)ライセンスカードを持っている人が講師をできるようになるといいですね。
大浜さんのホームページに三級セミナーの模様が載っていますが、合格するためのセミナー
を自分の経験からいろいろ教えていけるような場を作っていきたいです。音楽教室や楽器店
で講師として招かれるようになるといいですね。またはJSPAのセミナーの後に合格者が
一言話をするとか、体験に基づいて細かいアドバイスができるといい思います。

(服部嬢)交流する場所がないのでこうやって集まる機会があるといいですね。
情報も優先的に集まると良いと思います。

●本日の座談会はいかがでしたか。

(戸村氏)自分と同じような意見を持っている方が多いことを知り、参加できて
良かったです。

(尾崎氏)音楽に精通されている方ばかりなので、最初は緊張していましたが、
MIDIにかける思いは皆一緒なんだなあと。

(今瀬氏)お互いに同じような意見を持っていたりとか、思っていたことが他の人
の話で確認できたので、ものすごくリラックスさせてもらいました。

(会津嬢)実は今日の参加を直前までためらっていたんですけれど、話が始まって
ああ今日は来てよかったと思っています。楽しく話が聞けて良かった。
やはり共通する話題なので面白いです。

(後藤氏)仕事では音楽と関係ない身分なので大丈夫かなと思いつつ、現場で活躍され
ている方達の話を聞いて自分も刺激を受けたいと思いました。内容もさることながら、
いろいろな意見を聞いて非常に収穫がありました。

(戸村氏)今日は参加できて良かったです。また二回、三回と続けばいいなと思います。

(相原氏)私も楽しかったです。二時間では足らないくらいです……

(後藤氏)こういう機会を設けて頂きありがとうございました。自分の中で言いたかった
ことは言えましたし、また皆さんの話がとても参考になりましたので、またこういう機会
で意見交換ができればと思います。

(今津氏)すごく楽しかったです。会食、飲み会がすごく好きなので、後々そうした場面
も出来たらもっと楽しいと思います。

(今瀬氏)今日はいろいろ勉強させて頂きました。ありがとうございます。

(服部嬢)自分の考えていなかった意見を聞くことができ、すごく楽しかったです。

(尾崎氏)これからも素人代表として己の力量を精進させたいと思います。一級を楽しみ
にしています。

(氏家氏)今は本当にMIDIのプロトコルで考えてもソフトシンセ大全盛ではないですか。
ホストシーケンサーでコントロールするのはMIDIですから。ハードウェアからオーディオ
から、また基に戻っているんですね。どんどん無限になって、またサイクルが戻って来ています。
MIDIだけでなくいろいろ巻き込んで考えていきたいと思います。もう今日は皆さんのお話を
聞いてとても嬉しかった。今後の参考にさせて頂きます。

(大浜氏)私もいろんな話を聞いて楽しかったです。先程のQY70はQY70同士をMIDI
ケーブルでつなげることができるのを知っていますか。そうすると32チャンネルのシーケンサー
になるんですよ。割とMIDIの一番簡単な使い方って、ケーブルをつなげることで倍以上の
可能性が出てくる。本当はMIDIは五線紙を知るのと同じくらいの知識だけで活用できて無限
に広がる。普通MIDI機器はお金がかかるってイメージがあるけれども、知識を活用するか
しないかでMIDIはお金はかからないんです。これからもいろいろ活用してご活躍頂きたい
と思います。

(中田氏)来年はMIDI誕生二十年になります、未だお約束は出来ませんが記念して
パーティーを開きたいと考えております。来年一年間、その他二十年記念にいろいろな
企画を練っていますのでご期待下さい。

(梅蔭氏)今日は皆さんから様々な意見をお聞きすることができました。
この検定制度にトライする方がたくさん増えるということ、即ちMIDIを正しく理解して
頂く方が世の中にたくさん誕生してもらえるよう、この制度が世の中で発展していくよう
強く願っております。